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まるでパンを食らうように

在宅ジャニオタ男子。ドドドドド新規。

「普通」なジャニーズ・松島聡くんに夢を見る

仮面ライダー、戦隊ヒーロー、ポケモンドラえもんハリーポッター。小さな頃に憧れ、いつか自分もそんな特別で素敵な経験ができるのではないかと根拠もなく思っていた。
自分が特別な何者かになれないことを知ってしまったのはいつだっただろう。
ごく普通に成長してこれからもごく普通に生きていく、そんな自分がどうしても嫌な訳ではない。ポケモンマスターにはなれなかったけど、ホグワーツ魔法魔術学校からの手紙は来なかったけど、俺は家族の中で学校で素敵な出会いと経験をしてきたと思っている。そのことに間違いはないし、改めて口にすることはないけど本当は普通でいられるのはありがたいことだと思います。
だからもう、そんなことは考えていないはずだ。それなのにパッとしない自分の日常に焦りや不安を感じ、このまま真面目に勉強して就職して、その先に何があるのか、そもそも本当に何かが待っているのかと考えてしまう時がある。今でも少しだけ期待しているのかもしれない。
もしかしたら、誰も気づいてくれなかっただけで俺も特別な人だったかもしれないと。



松島聡くんを見ると、俺はそんな幼い憧れを思い出し、嫉妬してしまいます。
Sexy Zone松島聡くんはすごく「普通」な子だ。都会でもない田舎でもない静岡というビミョーな土地で生まれ育ち、両親とお姉さんと自分という現代の核家族のモデルのような家族構成で、クラスで五番目くらいにカッコいい中途半端な顔で、背は少し低いけど特徴のない体型で、勉強はあんまりだけどスポーツは好きで、本当に普通に普通の子なのにうっかり普通じゃないことが求められるジャニーズの世界に入ってしまった。そして日本中の女子の憧れの的である国民的アイドル集団・ジャニーズの中でもキラキラした王道でトンチキなSexy Zoneにうっかり選ばれてしまった。
Sexy Zoneの他のメンバーは、まるでマンガや映画の登場人物のようにとても個性的だ。天才的な王子様アイドル、Sexy Zoneの破壊力抜群な先鋒を務める中島健人くん。お父さんが嵐のデビュー曲を作った、影のある悩めるサラブレット菊池風磨くん。ジャニーズ帝国が揺らぎ出した現代に救世主のように現れた、しっかり者で鋭いツッコミもできる佐藤勝利くん。ドイツと宝塚のハーフで、神様の子供みたいに清く正しく美しいマリウス葉くん。
その中にポーンと飛び込んだものの彼らを超える自分の個性や良さを探そうともがき、必死に努力している。俺には松島くんのことがそんな風に見えています。





Sexy Zoneがデビューした最初の頃、俺はテレビで見る松島くんがあまり好きではありませんでした。まだジャニーズファンになったばかりの頃です。
自分もジャニーズになりたいと本気で思ったことはありませんし自分の容姿に大した興味もありませんが、自分と変わらない年の子供がジャニーズいるのはなんとなく羨ましい気持ちがありました。しかもその子が「これだけ美しく特別な子供なら仕方ない」と思えるような人ではなかったのです。
けして松島くんのお顔が不細工な訳ではないですが、俺にとって初めてデビューした同い年ジャニーズこと佐藤勝利くんがあまりにも美しく神々しすぎる姿をしていたので、行き場のないもやもやが次に年の近い松島くんに向かったのは仕方のないことでした。もちろんそれは松島くんには何の責任もなく、ただ当時の俺は今以上に先が見えなくて、特に中学3年という、他校では受験生もいる年だったことが大きかったと思います。俺と大して変わらないように見えるのにあいつは大人の世界で立派にやっているんだ、という焦りと妬み。それがなくなっていったのは、皮肉にも松島くんがSexy Zoneのメンバーとして認められていないかのような姿を見てのことでした。
ジャニーズファンなら誰もが知っていることでしょうが、ここ1年半ほど、松島くんはSexy Zoneであまり優遇されていません。それどころが、正式なメンバーなのにマリウス君と一緒にジュニア同じ衣装を着てバックダンサー扱いを受けていたこともあります。Sexy Zoneのコンサートに事前の通知なしに松島くんの姿がなかったこともありました。アイドル史の中でも、この格差は℃-uteの『SHOCK』に並ぶ酷さだったのではないでしょうか。
俺は松島くんのことをかわいそうだと思いました。彼の相方である最年少で義務教育中のマリウス君にも個人の仕事があるのに、松島くんはSexy Zoneとしての仕事しかなく、しかもそのSexy Zoneのパフォーマンスにはどんどん松島くんの居場所がなくなっていくのです。終身雇用のようになっている今のジャニーズでも、もしかしたら松島くんは辞めてしまうかもしれない。お前はいらない人間なんだと肩叩きされているかのような松島くんが痛々しく見えました。
しかし、どんなに冷遇されても松島くんはめげませんでした。いや、もしかしたら松島くんも本当に嫌になった日があったのかもしれない。東京に向かう新幹線で憂鬱になった日もあったかもしれない。上手くいかない現状にむかついてイラ立っていたかもしれない。それでも、松島くんは最終的に前向きな考えを持ったのだろうと俺は思います。彼は静岡から上京することを決意し、平凡な自分が注目を浴びることができるかもしれないアクロバットという武器を持ち、歌割りが少なくなった間にデビュー当時はSexy Zoneの歌唱の要となっていたあの魅力的なソプラノボイスからの声変わりも始まりました。
少年倶楽部で公開されたSexy Secondのツアー映像を見て、俺はびっくりしました。ネットに流れるレポで知っていたけれど、松島くんのバク転はそれ自体よりも「松島くんが一人でパフォーマンスした」バク転に歓声が上がった事実を評価すべきだ。残念ながら収録カメラの入った横浜アリーナ公演では削られてしまったようですが、以前は本当に酷かった松島くんの立場の危うさが軽減されてきたようなのでちょっと書いてみました。一時はマジでジュニアに戻らされるのもあり得そうだったから……松島くんはジャニーズの小数賀さんじゃなかったみたいでおじさんは何よりです……。

Sexy Zoneになって人々の視線を受けて松島くんも垢抜けてきましたが、やっぱり芋っぽい子だなと微笑ましく思うと同時に、もしかしたらなれたかもしれない「特別な自分」を見守っているような複雑な気分になります。
特別な人たちの中で悪戦苦闘して成長していく「普通」の松島くんを見ている。自分を重ね、ちょっぴり妬ましくなったり悔しくなったりしながら、それでも自分も自分なりに頑張ろうと思える。そんな人、他にもいるのではないだろうか。特別な人たちに囲まれた普通の子の松島くんが、普通にまっとうに一つ一つ日常を頑張っていく姿に励まされる、普通の人たち。

松島聡くんはそんな、素晴らしい「普通」を持っている素敵なアイドルです。