まるでパンを食らうように

在宅ジャニオタ男子。ドドドドド新規。

拝啓、僕が担当するあなたへ

湿り気のある暑さが肌にはりついて、今年もまたこの季節が巡って来たことを知りました。あなたのことを思い出します。いかがお過ごしでしょうか。
先日、テレビで17歳のあなたを見ました。今の僕と同い年のあなたが、僕が生まれる前にこんなことをしていたんだと、なんだか不思議な気持ちになりました。十代のあなたは役柄のせいか妙に険しい顔をしていて、どこかよそよそしくて、それがちょっとだけ怖かったです。まるで僕の知らないあなたを知る誰かに張り合うように、今の方がずっとずっといい顔をしているじゃないかと思いました。
そもそも、どうしてあなただったのでしょう。美醜の価値は個人の主観に寄るところが大きいですし、また時代の移り変わりと共に変化するものです。それを踏まえても、正直なところ僕はあなたのことをそこまで美形だとは思っていません。若さが美しさの代わりになるのだとしてもあなたにはそれもありません。僕が知った時のあなたは既に四十代。不惑です。自分の倍、いやそれ以上の親でもおかしくないような年齢の同性に、どうして僕はこんなに執着しているんだろう。たまに考えては、可笑しくなります。歌が上手い。踊りが上手い。そんなことだけなら、別にあなたでなくてもいいはずです。僕があなたに惹かれたこの大きなエネルギーの源はそんなところにはないはずです。そんなつまらない話ではない。
あなたのファンになってから、この秋で3年になります。僕があなたのファンでいることに関して、けして好意的ではない言葉も受けました。何度も考えました。考え疲れてあなた以外の若者に浮気心も持ってしまいました。いろんなところを通って、また同じところに戻ってきました。僕はあなたが好きです。43歳の、ガッサガサの肌をしたおっさんで、けっこう口が悪くて、歌もダンスも上手くて、真面目で努力家で、変なところで臆病で、お茶目で末っ子気質で、向いてないのがわかっているのにリーダーを引き受けて頑張ろうと決意できた、続けられたあなたが好きです。すべてをひとつひとつ重ねて生きてきた、四十代のあなたが好きです。人のことを好きだなんて実生活で言うこともないので、書いていて妙に照れます。好きという言葉でしか表現できない語彙の貧しい自分がもどかしいですが、この感情を表すには好きだというまっすぐな言葉しか見つからないようです。
男の顔には経験が刻まれるのだと、どこかで聞いたことがあります。それを聞いた時から、僕はいい顔の大人の男になりたいと思うようになりました。いい経験を積んで、いい出会いをして、たくさんのことを学んで、失敗してもいいから、その後にいい顔をした格好いい大人になりたい。今は、それを考えた時にあなたの顔が浮かびます。多くの素晴らしい経験を積んだ、とびきり格好いい素敵な大人の顔をしたあなたです。僕が担当しようと思ったのが、いい顔をしているあなたで本当によかったと思いました。若い時より、年を重ねた今がずっといい顔をしているあなたでよかったと思いました。
坂本昌行さん、43歳のお誕生日おめでとうございます。あなたは僕の憧れです。これから年を重ねて、もっともっといい顔になっていくあなたを見てみたいです。こんな日には僕もそんな格好いい大人になりたいなと強く思います。
暑さ厳しい梅雨明けの折、お身体を崩されませぬよう、くれぐれもご自愛ください。新曲「涙のアトが消える頃」、発売を心待ちにしております。