まるでパンを食らうように

在宅ジャニオタ男子。ドドドドド新規。

ジャニオタが映画「ハイ・スピード-Free! Starting Days-」を見た感想文

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半年以上前にTOKIOのライブDVDの話をしようとした以来(長くなりすぎて途中で挫折した)、しばらくぶりにブログにアクセスした。だいたいはてな自体、毎朝メールされる人のブログの更新情報くらいでしか使っていない。これだけ敷居が高くなってしまったブログを久しぶりに書かなくてはと思わされたのは、アニメ映画「ハイ・スピード-Free! Starting Days-」を見たからだ。
映画を観ている間、観終わった後、どこかでこの感覚を持ったことがあると考えていて気づいた。「ハイ・スピード」が見せてくれたものは、ジャニーズジュニアのドキュメンタリーに似ている。
ガムシャラ夏祭りのドキュメンタリーを観た時の、爽やかで鋭く熱い観後感。美しい少年たちの、この年代特有の繊細さと強さに魅せられた。ああ、だから自分はこの作品に惹かれているのかと、劇場アニメを一人で観に行くという異例の行動にも関わらず、通常営業な自分がおかしくなった。
いや~、だんだん見ているのが絵っていうのが気にならなくなってきて、スッと見られるようになったのはこの数週なんですけどね。水着姿の渚くん(小6)のおなかが日本一ベビーパウダーをはたきたい素敵なおなかでしてね……渚くんのぽんぽんにママのにおいのお粉ぽんぽん……渚くんは別の世界線ではサマリーで半裸ジュニアに混ざって手を振ってくれているはず。でも社長が好きそうなのは遥くんだな!

「一瞬の風になれ」という佐藤多佳子の小説がある。初めて読んだのは小学校中学年頃だったと思う。作中で陸上競技に打ち込む高校生男子は、リレーのメンバーになった後輩に頭を悩ます。意思の疎通が上手くできず、雰囲気の悪くなったチームのバトンワークは悪くなる。基本的に個人競技だと思っていた陸上の見方が変わった作品だ。
体操日本代表の内村航平選手が、オリンピックの時に「団体戦は特別」というようなことを言っていた。個人で金メダルを獲れる人にとっての団体戦とはなんなんだろう、なぜ内村選手は団体を重んじるんだろう、そう思った時に思い出したのは「一瞬の風になれ」だった。
自分はチームスポーツをしていたことはあるけれど、リレーで繋ぐ競技は未知の世界だ。その時出ているのが誰か分かりやすい分、誰かのミスがチーム全体に影響するのは恐ろしいんじゃないかと思う。一方で、一人一人の全力を次に繋いでいくというのは、体感したらたまらないものなのだろうとも思う。

この映画は、水泳部の中学生男子四人が、競泳のメドレーリレーを通して、自分を見つめ直し成長し仲間と一つのチームになっていくまでの物語だ。競泳のリレーにはバトンがない。お互いの信頼関係がなければ、リレーは上手く繋がらない。メンバーの意識がバラバラになりリレーの引き継ぎが上手くできなくなるシーンでは、技術だけではどうにもならないチームの姿が見られた。
この映画は元々はテレビアニメとして2013年の夏クールに主人公の高校二年生の時代を描いた第一作「Free!」、翌年の夏にその後の第二作「Free! ~Eternal Summer~」を放送している作品だ。公開順で言えば最も新しいものの、作中の時系列としては、中学編である今回の「ハイ・スピード~Free! Starting Days~」はサブタイトルの通り、テレビシリーズで描かれた高校時代と物語の鍵となる回想で出てくる小学生時代の間を繋ぐ始まりの物語になる。自分は映画観賞時に第一作の10話までしか見ていなかったものの、テレビシリーズの映画化によくある「その後」ではなく「その前」だったので、話がわからなくなることもなく楽しんで見られたのもよかった。
「ハイ・スピード」は男子中学生の部活物だが、派手な超能力バトルが繰り広げられる試合はなく、彼らは目指せ全国制覇などと言い出すこともない。描いているのはスポーツではなく中学生の揺れ動く心。部活物と言えば最近は少年ジャンプ作品でいくつか人気のものがあるけれど、やろうとしていることはまったく違うんじゃないかと思った。「ハイ・スピード」は、あえて部活物で例えるなら、男版の「けいおん!」。みんなで一つになること、そこに生まれる絆のようなものが一番大事に描かれていた。個人競技の競泳でリレーをすること、その意味を考えさせられた。

せっかくアニメの話だし、できるだけネタバレせずにキャラクターの気になったところの話でもしておきます。怒られる前に言っておくと、テレビシリーズをまだ最後まで見ていない上にパンフレット買ってないんで、何かと間違ってたらすいません。こそっと教えてください。
主人公の遥は、高校生時代を見ているとどうもこいつは幼馴染みの真琴以外クラスに友達いないんじゃないかと思っていましたが、少なくとも中一の時点では机寄せて弁当食べる相手がいるようでマジでよかった。競泳が題材ではあるけれど、けっこうクラスのシーンも多くて、「ハイ・スピード」は同じように育ってきた遥と真琴が初めてそれぞれの世界を持った時期の話でもあるんじゃないかと思った。
真琴は怖いほどに優しく穏やかな中学生で、これで中学生だと思うとこいつは出来すぎでとにかく恐ろしい。おそらく一番身近な友達が競泳の才能があり周りをやたらと刺激してしまう遥ということで、周りからすれば真琴が遥をフォローする間柄に見える。けれど、実際は真琴の方が幼馴染に頼られることに依存しているようなのがいよいよ怖かった。こいつは底が見えない。
新キャラ同級生は、みんな主人公になれるレベルのポテンシャルの持ち主で、とにかく濃かった。一回見ただけで名前と顔が一致しているから、これはけっこうすごい。再三のバスケ部勧誘を蹴って全員水泳部に入られても腐らずにいる貴澄は、物語の中心にいなかったので情報は少ないけれど、あの中では誰よりも大人じゃないかと思う。一人だけ水泳部ではないけれど、だからこその細かい気遣いがマジでいい奴だった。貴澄は真琴とは違った意味で貴重な友達だと思うので、高校生の遥の周りに貴澄の姿がないのが残念だ(って書いたけどアニメ続編に出てくるんすね)。中学入学なんて見せられたせいで、やたらと遥の友達付き合いを心配して見てしまった……。
「ハイ・スピード」のキャラクターはそれぞれに現実にいそうな中学生だけれど、旭はバカでガキっぽく熱く、一番すんなりとついこの間までランドセル背負ってたんだなと思わされる奴だった。他の作品で例えるのもどうかと思うけど、初期のナルトを思い出した。高校時代では真琴が部長をしているけれど、小学校ではカリスマ凛、中学ではイケイケ旭というリーダーがいた上での高校での部長ぶりだと思うと、ちょっと面白い。旭や貴澄みたいな、中学生らしくバカで賑やかな奴と仲良くしている遥は妙に新鮮だった。
郁弥はこの映画で一番の見せ場を担当していて、もちろんアニメーションなので絵を描いてるのも声を当ててるのも大人なのはわかってるんですが、彼の演技は天才子役のそれだなと思いました。感受性が豊かで感情の機微に聡いけれど、自分の気持ちを言葉にするのが下手くそな不器用さが少し遥に重なる。ビジュアル的にも遥と被るんですが、根幹の部分はまったく違うようにも思う。遥はあまり他人からの評価を気にしないけれど、郁弥は人からどう見られるかに怯えているような。だいたい小学校高学年で一緒に住んでる兄弟との確執なんて、一回泣いてケンカでもしたらどうにかなるもんじゃないですかね? いや、自分は年の近い兄弟いないんでよくわからないですけど、あそこまで拗れるのはどっちもどっちだよな~と……。郁弥は賢いけれど、そういう面で可愛いくらいにバカだなと思った。
けっこう大事な役回りの宗介は、テレビアニメではまだ見ていない部分で出てくるらしいので、高校生になった宗介がどうなっているか見るのが楽しみになった。映画で見た部分だけで判断するのも悪いくらいにかわいそうな人だった……。
先輩二人は、静と動。遥たちから見て自分より大人に近い「先輩」に見えるけれど、この二人もきちんと中学三年生として画面にいた。特に郁弥の兄でもある部長は、部活ではカリスマ性のある先輩だけれど弟との付き合い方の下手さに未熟な部分を感じた。
ほとんど登場しなかったものの、「主人公のライバル」という立ち位置を全うしていた凛。いないのに存在感があった。テレビシリーズを見ていて、小学生時代の凛の存在がリレーをする上での遥たちの原点だと思っていたが、凛の側にとっても遥は目指す方向なのだとようやく気づいた。凛は小学生も高校生もザ・少年漫画のライバルキャラのカッコいいポジションで腹立つけど、中学生の凛は弱った顔を見せてけっこう可愛かった。

自分はこの秋TOKYO MXでやっている再放送で初めてこの作品を見始め、あまりにもドンピシャに好きな話でついハマってしまい、終には劇場版まで見に行ってしまった。こんな勢いで新しいジャンルに踏み込んだのは、V6にハマって以来じゃないかと思う。ハマってしまったら「よかった」と人に言いたくなって、だらだらと感想文を書いてしまいました。
とにかく一回見てほしい。できれば劇場に足を運んでほしい。アニメーション映画だからこその映像表現が、大画面で観るとさらに素晴らしかったです。いや~、これだけあれこれ書いといてパンフレットすら買ってないんですけどね! テレビシリーズ最終回の再放送が今週なので、それを見る前にと焦って書き殴りました。これを書いてる間に11話を見られたんですが、前回の凛からの流れだと最終回を見た後に考えが変わりそうだ。
このブログを見た人はほぼ確実にジャニーズファンだと思うので、こんなとこでこんな話してどうするんだとちょっとビクビクしてるんですが、この映画けっこうグループアイドル好きにはたまらないやつなんじゃないかと思います。グループで団結して成長する姿や深夜のアイドルドラマが好きな方なら、アニメだからというだけでこれを食わず嫌いするのは損ですよ!